2023年10月7日(土)~12月17日(日)
熊本県/熊本市(中央区)/熊本市現代美術館
パンデミックをきっかけに考えるようになった社会の在り方、その中の私たちの暮らしや労働など、様々な事象を現代美術を通して考察する展覧会「遠距離現在 Universal / Remote」。

展示風景:「ヒト・シュタイエル」ノイエ・ベルリナー・クンストフェライン( n.b.k. )、2019年。《ミッション完了:ベランシージ》2019 年 ジョルジ・ガゴ・ガゴシツェ、ヒト・シュタイエル、ミロス・トラキロヴィチの共同制作。 Courtesy of the artists; Neuer Berliner Kunstverein, Berlin; Andrew Kreps Gallery, New York; Esther Schipper, Berlin.
Photo © Neuer Berliner Kunstverein (n.b.k.) / Jens Ziehe
コロナ禍の日常生活の中で私たちが感じるようになった、ソーシャル・ディスタンシングによる緊張感、医療不足、より不安定となった雇用など、社会/経済全般における諸問題は、決して今に始まったことではありません。
むしろ、ウイルスと同様に、パンデミックという状況によってよりはっきりと明るみに出た、世界各地の人々が同時に共有する問題と言えるでしょう。

井田大介《誰が為に鐘は鳴る》2021年 Courtesy of the artist.
人、資本、情報が世界規模で移動する20世紀後半以降のこれまでの社会は、2010年代より本格化したスマートデバイスの普及とともに、オーバーツーリズム、生産コストと環境負担の途上国への転嫁、情報格差など、それぞれのグローバルな移動に伴う問題を抱えたまま2020年を迎えました。
そして、同じく国境のないパンデミックの発生により、人の移動には不意のストップがかかったものの、資本と情報の移動が止まる気配はありません。
かえって、資本や情報の本当の姿が、垣間見えているようにも思えます。
豊かさと貧しさ。強さと弱さ。私たちの世界のいびつな姿はますます露骨に、あらわになるようです。

ティナ・エングホフ《Possible Relatives/男性、1954年生まれ、自宅にて死去、2003年2月14日発見》 2004年 Courtesy of the artist.
展覧会タイトル「遠距離現在」は、ソーシャル・ディスタンシングや非対面コミュニケーションといったコロナ禍社会の条件はもちろんのこと、資本と情報が世界規模で移動する今世紀の状況をふまえたものでもあります。
展示予定作品の多くは2020年以前のものですが、監視システムの過剰や精密なテクノロジーのもたらす滑稽さ、また人間の深い孤独を感じさせる作品群は、今の時代、あるいはこれからのポストコロナ時代の世界と真摯に向き合っているようにも見えます。

トレヴァー・パグレン《米国家安全保障局 (NSA) が盗聴している光ファイバーケーブルの上陸地点、米国ニューヨーク州マスティックビーチ》2015年 © Trevor Paglen, Courtesy of the artist, Altman Siegel, San Francisco, and Pace Gallery.
本展は、全世界(Pan-[全…,汎…の意])の規模と、非対面の遠隔(Remote-)という二つの視点から、グローバル資本主義やデジタル化社会といった現代アートにおける従来のテーマを新たに捉えなおすものです。
1.「pan-の規模で拡大し続ける社会」
2.「remote-化する個人」
の構成からなる本展は、このような社会的条件が形成されてきた今世紀の社会の在り方について取り組んできた作品をご紹介します。

徐冰(シュ・ビン)《とんぼの眼》2017年 Courtesy of the artist.
【開館時間】 | 10:00~20:00(展覧会入場は19:30まで) |
【休館日】 | 火曜日 |
【観覧料】 | 一般1,100(900)円、シニア(65歳以上)900(700)円、学生(高校生以上)600(500)円、中学生以下無料 *( )内は前売/20名以上の団体/電車・バス1日乗車券等をご提示の方 *各種障害者手帳等をご提示の方とその付き添い1名は無料 *10月12日(木)は開館記念日のため入場無料 |
問合せ先:熊本市現代美術館 TEL 096-278-7500
ご参考・・熊本市現代美術館Webサイトへ