2025年12月7日(日)~2026年2月1日(日)
福岡県/田川市/田川市美術館

本展では、異なる時代の媒介者たちが一堂に会し、筑豊という土地に目を向けます。
筑豊は、訪れる表現者たちに「なにを写し、なにを描き、なにを伝えるべきか」を問いかけてきました。
その問いはやがて、表現の手法や題材にとどまらず、「絵とはなにか」「表現者とはなにか」という根源的な問いへとつながっていきます。
1950年代、富山妙子は鉱山に関心を寄せて筑豊を訪れ、人々を取材するなかで、表現しきれないほど複雑な現実を目の当たりにしました。
1960年代になると、永末十四雄や上野英信、菊畑茂久馬が山本作兵衛に出会い、その功績を世に広めようと奔走します。
なかでも上野と菊畑は、模写が記録を残す有効な手段であることに気づき、その方法をとおして後世に伝えるべき作品を見出しました。
半世紀を経た現在、初公開となる素描や手紙からは、表現者たちの結びつきが鮮やかに浮かび上がります。
また、筑豊のこれまでの歩みに着想を得て、現代の作家たちが身を置き、対話を重ねるなかで生み出された表現も紹介します。
音楽、映像、写真、模写、素描といった多様な表現が織りなす物語をとおして、姿や形を変えながらも繰り返し「うつされてきた」筑豊の歩みを、ご覧いただければ幸いです。
本展のみどころ
1.芸術家同士の交流を伝える貴重な資料の展示
上野英信の活動拠点である筑豊文庫を中心に、富山妙子をはじめ、本橋成一、広川泰士、山口勲ら、多くの芸術家たちが交わった軌跡を、手紙や共同制作作品、書籍の原稿など、貴重な資料とともに紹介します。
また、全国展開している企画「LINKS−菊畑茂久馬」に関連し、菊畑茂久馬が美学校で指導していた頃の写真や、授業構想を綴った手紙も公開。充実した資料群からは、時代を越えた芸術家たちの交流と創作の足跡が鮮やかに浮かび上がります。
2.地域の産業に根ざした新作を初公開
本展にあわせて、地域の風土や産業を取材し、新たに制作された作品を展示します。鉄道の車窓から見られる景色、河川や山の表情、伝統産業の営みなど、地域の人々にとって馴染み深い日常の風景が、現在の視点によって読み解かれます。
サテライト会場では、作家とともに地域をめぐるフィールドワークを開催し、実際の場所を訪れるなかで、私たちが暮らす土地を過去から現在までの視点で見つめ直すきっかけを提示します。
3.書籍出版を記念した充実のイベント
ポスタコロニアル/フェミニズムの視点から世界に発信を続けたアーティスト、富山妙子の初の入門書である、『越境のアーティスト 富山妙子』の出版を記念し、東京大学東洋文化研究所真鍋研究室のご協力をいただき、連続出張講座を開催します。
富山妙子が制作した2本のドキュメンタリー映画、『自由光州̶1980年5月̶』『はじけ鳳仙花̶わが筑豊わが朝鮮̶』の上映に加え、第一線で活躍する研究者たちによる講演会も実施。
地域と画家、そして芸術の新たな関係性を、多角的な視点から読み解きます。
| 【開館時間】 | 9:30~17:30 *入館は17:00まで |
| 【休館日】 | 月曜日(ただし1月12日(月・祝)は開館し、1月13日(火)は休館)、年末年始(12月29日~1月3日) |
| 【観覧料】 | 一般800円(700円)、高大生400円(300円)、小中生200円(100円)、未就学児無料 *( )内は20名以上の団体および田川市在住者[要身分証明書]の料金 *土曜日は高校生以下無料 |
問合せ先:田川市美術館 TEL 0947-42-6161
詳細は・・田川市美術館Webサイトへ


